囲炉裏と鉄瓶のある日常

「日常」の評価

多彩で独特なキャラが織りなす、ありそうに見えて絶対にない日常のシチュエーションを描く、唯一無二の雰囲気を持ったギャグアニメ。

もし 2期があったら、何をおいても迷わず視聴します。

見てもらいたい度:❤️❤️❤️❤️❤️ (5/5)
満点です!ぜひ観ていただきたいです。

オススメ・ポイント

ありえない非現実的な出来事ばかりだけど、なぜだか身近な日常の光景に見えてくるのが不思議です。 エピソードの芯の部分は、皆が経験したことのある日常の中のひとコマなのでしょう。

大笑いさせてくれるだけでなく、第二十五話の友情エピソードなど思わずジーンとさせる話もあったり、優しさや懐かしさを感じさせる場面が随所に出てくるところが、このアニメをただのギャグアニメに終わらせていないところだと思います。

ごく普通の日常の風景に摩訶不思議な出来事が何気なく溶け込んでいる世界。 可愛いキャラに、どの角度からどう飛んでくるかわからない意表を突くギャグの数々。 そんなコミカルなシーンの中に、ふと心に響く家族愛や友情のエピソードが織り込まれています。

友達と遊んだ初秋の夕方、近所の夕飯の仕度の匂いを感じながら我が家に向かう帰り道のような懐かしさ。不条理ギャグアニメのはずなのに、子供のころの思い出みたいなものを感じさせてくれる、独特の魅力を持つアニメです。

最終回で"なのちゃん"に「日常」とつぶやかせる演出や、第一話を「やる気」で始め、最終回を「やる気」で締める構成に卓越したセンスを感じます。

 

オススメの回

あえて選ぶとしたら第二十二話をお薦めします。

どの回を見ても間違いなく楽しめるアニメなので、もちろん全話がおすすめです。前の話が伏線になっていることもあるので、順番どおりに観るとより楽しめるでしょう。

 

何度見てもお腹いたいんだけど

校長と鹿の死闘(第六話 日常の24)や、"みおちゃん"が"ゆっこ"にお弁当を頼む話(第十四話 日常の58)、"みおちゃん"が棒高跳び飛べないエピソード(第十九話 日常の79)など、声を上げて笑ってしまう場面が山ほど出てきます。

安中さんの「えぇーーー」(第十話 日常の41)や中之条君のお寺破り(第二十二話 日常の93)、フェッちゃんアイスの悲劇(第二十二話 日常の95) など、爆笑エピソードは挙げ始めたら止まりません。

次回予告が「次回の日常は第五話です」とか、それ確かに予告だけど! 教室の張り紙や街中の看板などの細かい部分にまで、クスッと笑えるようなユーモアが仕込まれているのも楽しいところ。

フェイ王国のウッドキューブ(第七話 日常の27)のオチが明かされたときは、爽快なカタルシスを味わいました。あのオチ、事前になぜ気付かなかったんだろう、という気持ちはまさに「アハ体験」でした。

 

キャラが皆、愛おしいんだけど

"なのちゃん"、博士、阪本さん、"ゆっこ"、"みおちゃん"、"まいちゃん"の主要キャラ、みんな大好きです。

第十四話の、"なのちゃん"が初めて学校に行く回のとても嬉しそうな様子には、見ているこちらも自然と笑顔になります。

博士は回を追うごとにどんどん可愛くなっていく気がします。声優の今野宏美さんの声が、わがままを言っても憎めない愛嬌や、怖いのを我慢しているいじらしさを、実に魅力的に表現してくれます。
"まいちゃん"の飼ってる犬に遭遇して震えながらの「坂本…、犬だ…」(第二十二話 日常の96)の切羽詰った様子がたまらなく愛おしいんだけど! 第十八話のビスケット2号のくだりでの「どうしたのビスケット2号?(チラッ、チラッ)」からの「博士ちょっと間違えちゃったかも」の流れは最高にかわいい!

他にも多くの個性的なキャラが登場しますが、そのどのキャラにも魅力を感じます。 中でも"みおちゃん"のお姉さんには強烈な印象を受けました。 天真爛漫に繰り出してくる強烈ボケの数々、この姉の存在が、"みおちゃん"のツッコミ体質を培ったのだなと思いました。

アイキャッチには、いろんな謎の生物が出てきます。 これは「KAMAKURA」という名の謎キャラ。新型コロナを経た今、この形で ”日常” と添えてあると、なんだか意味深な絵に見えちゃいますね。

あらゐけいいち「日常」のKAMAKURA

 

"ゆっこ"死んでないんだけど

インターネット上の一部で囁かれる「ゆっこ死亡説」、中には"ゆっこ"の死因を気にされている方もいらっしゃるそうですが、原作でもアニメでも「日常」の中で"ゆっこ"が死んだという事実は一切ありません。

これは、ファンの方の「ゆっこのいない日常」という創作動画が元で"ゆっこ"が死んだという話しが拡がってしまったものです。

原作者 あらゐけいいち さんの漫画単行本最終巻の告知動画「10巻告知漫画」にも、"ゆっこ"はちゃんと登場しています。


 

ひとつの芸術だと思うんだけど

ここで、「日常」という作品を絵画芸術として深く掘り下げてみたいと思います。

「日常」は、よく「シュールなギャグアニメ」と呼ばれます。 ここでいう「シュール」というのは、不条理なとか現実離れしたという意味のいわゆる俗語で、本来の「シュルレアリスム」とはちょっと違った意味で使われています。

「日常」を本来のシュルレアリスムの観点から見ると、博士と"なのちゃん"の存在、立花みさとの火器類、スーパーに本日入荷した雪だるまなど、ネタの多くに「デペイズマン」の手法を感じることができます。

また、学校の廊下の張り紙にある言葉や囲碁サッカーという名称などは、「優美な屍骸」の視点から見ることも出来るでしょう。

シュルレアリスムだけではなく、"みおちゃん"の命を燃やした走り(第二話 日常の7)は、イタリア未来派のジャコモ・バッラ「鎖に繋がれた犬のダイナミズム」を彷彿とさせ、同シーンの手足を大きく力強さを感じさせる表現には神田日勝のリアリズム絵画作品との共通点を感じます。

 

(…いまの、ボケたんだけど👓)

 

漫画「日常」連載再開うれしいんだけどー!


2021年10月26日発売の月間少年エース 2021/12月号で、漫画「日常」の新連載が開始されました! これはアニメ第二期もありでは? ちょっと気の早い話かもしれませんが、そうなったらとても嬉しいことです。

 

あらゐけいいち さんの他の作品も紹介してるんだけど

別記事"今楽しめる、「日常」のあらゐ けいいちさんの作品を紹介"で、あらゐけいいち さんの日常以外の作品も紹介しています。

全国1億3千万人の「日常」ロスの皆様に送る、あらゐ けいいちさんの作品を楽しむには?2021年7月版

 

「日常」の参考リンクかもしれない

 

Blu-rayとかかもしれない





 

最後まで読んでくださって、感謝ァ 😉✨