【アポカリプスホテル】ヤチヨさんの心身問題:身体改造が性格に与えた「力」への欲望
【ネタバレ危険!】第8話、第9話の一部ネタバレを含みます。
『アポカリプスホテル』第8話で新しい身体を得たヤチヨさんの変化の理由と、ポン子の意図についての考察(妄想)です。
ある日目覚めたら身体が戦車になっていたとします
第8話「おしおきはグー!なかなおりはパー!」にて、目醒めたらザムザばりの変身をかまし、戦車の身体となっていたヤチヨさん。恐竜戦車もビックリです。
戦うための機能に特化され戦うために造られた "戦車" という身体になった場合、その性格はどう変化するでしょうか?
戦車という身体性から得られる情報(精密な照準システム、強力な火器、高い防御力など)は "戦車としての自分" を強烈に意識させ、強大な破壊力と防御力を持つがゆえに、物事を解決する手段として "力" を最優先するようになるでしょう。
砲撃や突破など、戦車として破壊力を行使することや自身の防御を固めることに対して、ある種の本能的な欲求を感じるようになるかもしれません。
ヤチヨさんの破壊衝動の源は何であったか?
戦車という身体性が性格に及ぼすであろう影響を踏まえると、第8話「おしおきはグー!なかなおりはパー!」Bパート途中でヤチヨさんが絶叫しながら突如暴走しはじめたのは、融通のきかない身体への苛立ち、満足に業務遂行できない情けなさ、もう自分は不要な存在なのではないかという焦りだけではなかったのではないかと思えます。
暴走族の特攻スタイルで街を破壊しながら暴走する "夜千世" さんや、『ヤチヨちゃんが戻ってきてくれて、すごく嬉しかった』に対して『うるせぇ!』とミサイルをぶっぱなすヤチヨさんには、物事を解決する手段として "力" を優先させている姿が見てとれます。
また、第9話「お客様の人生に、今日という栞を」でのブンブク殴打やポンスティン強襲、そのときの『考えるより先に手が出てしまいました』は、破壊力を行使することの本能的発露を物語っています。第8話での『何かを無償に壊したくなってしまったんです』『壊さないと気が紛れなかったんです』というセリフも同様でしょう。
ポン子はやっぱり"たぬき"?
第8話で戦いの後にポン子が漏らす『(涙が)出るんだ。そのボディでも』というセリフからは、戦車の身体性がおよぼす影響を彼女は知っていたことが伺えます。
ホテリエとしての心得をヤチヨさんは会得していました。それは頭ではなく身体で、本能としてわかっていたのだと思います。それが、戦車の身体になって、ポン子と拳を交えながら腹を割って話したことで、初めて意識上に顕在化したのではないでしょうか。
そして、ポン子はそれら全てをわかっていた上で、長期間ホテル業務から離れて宇宙を漂っていたヤチヨさんにホテリエの心構えを再認識させるべく、ある種のショック療法的に敢えて戦車の身体にしたのではなかったか?
ヤチヨさんもそのことに気付いており、だからこそ第9話で『式(ポン子たちの結婚葬儀披露宴)までに、私の身体、直りますか?』と尋ねたのだろうと思うのです。
参考
- Webサイト:TVアニメ「アポカリプスホテル」公式サイト
- Twitter:TVアニメ「アポカリプスホテル」公式
- Wikipedia:アポカリプスホテル
- Wikipedia:コウモリであるとはどのようなことか