あるときはモブ、またあるときはヘタレ、しかしてその正体は、陰から世界を操る実力者!を目指す主人公。適当にでっち上げたはずの妄想設定がなぜか現実とマッチしてしまい、主人公が率いている(ことになっている)優秀な組織「シャドーガーデン」は、日夜その現実と闘っていた。しかし、当の主人公は自分の妄想に付き合ってくれてるだけと思い込んでおり…

 

「陰の実力者になりたくて!」の評価

見てもらいたい度:🍔🍔🍔🍔➖

 

オススメ・ポイント

自分の理想の「陰の実力者」像を追求することしか頭にない主人公が、「陰の実力者ごっこ」をして遊んでいる、それも本腰を入れてひたすらに。そしたら周りが勘違いして真の実力者として畏敬の念をもって接してくる、それをまたいい感じに「ごっこ」に付き合ってくれてると主人公が勘違いして、というコミカルな展開が楽しいアニメです。

ストーリーでは、「陰の実力者ごっこ」ばっかりやっててさっぱり成長しない主人公と、主人公から影響を受け、変わっていくヒロインたちの姿が描かれます。実はこのヒロインたちがこのアニメの主役、見どころであり、ヒロインたちの物語を描きたいからこの主人公がいる、主人公はケレン味たっぷりの引き立て役なのではないかと思います。

こんな人を人とも思わない非道な無責任男が主人公というのが、すんなりとは受け入れられず、何か引っかかるものを感じていたのですが、狂言回し役だと考えると得心が行きました。

しかし、ただの無責任男にしては、主人公がヒロインたちに厳しくも思いやりある言葉や行動を示すことがあります。これが優しさから来るのか、「ごっこ」によるものなのか、本当に自分のことしか考えていない身勝手な人間なのか、そこが判然としないところにも面白みを感じます。そこまで考えると、主人公がミステリアスな魅力に満ちた人物にも見えてきます。

本物の陰の実力者、シャドーガーデンの七陰も、一人ひとりがとても魅力あるキャラ…、のようなのですが、あまり登場してこなくて焦らされました。イータとゼータに至ってはほぼ「かげじつ!」でしか見たことが無く、本編でもっと見たいと感じます。

 

オススメの回

#03「凡人の剣」です。

陰の実力者になるために主人公が執着しているのが「モブになりきる」ことという設定が、いよいよ本格的に開始される回です。

強さという面ではもう実力があり過ぎて、一周回って努力が「どうモブを表現するか」方向に行っちゃってるバカバカしさと、主人公が大真面目にそれに取り組んでいる可笑しさが楽しいです。

アレクシアおうにょの最低な行為と、それに負けない主人公の最低な行動を見せた後に、お互いの剣(生き様)について言葉を交わすシーンが美しく描かれるところも見応えありました。

 

「陰の実力者になりたくて!」続編フラグ?

アニメ監督の中西和也さんが、放送回ごとに四方山話と題して、制作の裏話などをツイートされていました。

最終回のツイートを見ると、主人公に肩車されたデルタがブイとしている絵…。これって、主人公が「じゃ、さよなら」と言ってるのを、デルタが「ちょっと待って」と引き留めて、2(期)としてるようにも見えるのですが、果たしてどうでしょうか?


 

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