「信じていた仲間達にダンジョン奥地で殺されかけたがギフト『無限ガチャ』でレベル9999の仲間達を手に入れて元パーティーメンバーと世界に復讐&『ざまぁ!』します!」の評価と感想


種族差別という社会的な不正義より、一個人にとっては自身の苦痛に対する「報復」の方が重大事。その「復讐」の甘美な魅力に囚われて道を踏み外してしまった少年の物語。


「無限ガチャ」の評価

【見てもらいたい度:👹👹👹➖➖(3/5)】

 

オススメ・ポイント

  • 「レベル9999」が強さの指標を通りこして、いかなる社会秩序や種族ヒエラルキーをも無効化する「絶対的な権威」の記号になっていて面白い。
  • ヒューマンが虐げられている側というのがダークでよい。種族差別の描き方も露悪的で悪趣味(褒めてる)。
  • 「ガチャ」で引いたバラエティ豊かな配下たちに華やかさと狂気が感じられる。
  • もっと悪趣味に突き抜けてもよかった。

 

オススメの回

第7話「ありがとう」です。
主人公たちが、仲良くなったヒューマンの冒険者を救うエピソード。タイトル回収シーンでの健気さに泣かされました。

エルフ族のヒューマンに対する酷い仕打ちに、主人公の心に種族差別に対する憤りが芽生えるのか否か、そこが見どころです。

 

残念ポイント

第4話「冒険者」での、故郷の村が何者かに襲われて家族が殺されたらしい事象に対する主人公の反応が軽過ぎる気がしました。

自分の復讐と比較して家族の安否や仇に対する執着が薄く、そこに主人公の「闇」があると思うのですが、エピソード中ではそのような描き方になっておらず、個人的に違和感を持ちました。

最初は自分の復讐一辺倒だったのが、家族の仇や種族差別への怒りが積み重なって、そちらが大きくなっていくという展開だと、私的には納得感があり熱を持って視聴できたと思います。その意味で、最終回の終わり方には希望が持てました。2期があるなら、この後のストーリーが楽しみです。

 

「無限ガチャ」第2話の違和感には意味がある

第2話「奈落」は、ダークな雰囲気から一転して、主人公が築いた国家での賑やかな生活がコミカルに描かれるエピソードでした。


他の回とは異なる異色のエピソードでしたが、これが第2話に持ってこられたのは、主人公と配下の者たちとの関係性を示し、その後のエピソードをその視点で観てほしいとの制作側からのメッセージだと受け取りました。

その関係性とは、配下の者は「超絶ヤバいやつ」である主人公を怖れていて、好きでもなんでもないけど、従順なふりをしてご機嫌を取っているというものです。

執念深く、恨みを忘れず、復讐に血道をあげる主人公。
裏切りの苦しみを忘れないためにマジックアイテムで自ら成長を止めて三年前の姿を留めていたり、主人公に代わって私が復讐しますよと言った配下に、顔を真っ赤にして『僕から復讐を取り上げるのかー!』と相手が泣くまでマジ怒りしたり…。
ちょっとしたことをずっと根に持たれそうな、こんな主人に仕えるのは、ある種、命懸けの接待にほかならないでしょう。

第2話でメイド連中がメイド長を陰で呪っていたシーンは、ずばり主人公と配下たちとの関係性の比喩なのです。

配下たちは陰で『ヤベーやつにガチャで呼び出されちまったな…』とか、『あっつあつのグングニールを素手で握って火傷しながら襲いかかってくるからなアイツ』とか、『"ライト神さまぁ"とか言っとかないと何されるかわからないわ。知ってるでしょ、あのずーっと根に持ち続けるねちっこい性格』とか言ってるんですよ、きっと。

これは、主人公と配下たちの関係をあえて斜めに読んだ個人的な楽しみ方なのですが、全員が無条件に主人公好き好き!なのは、安直なハーレムものみたいで、この作品の魅力を損ねてしまう気がするのです。

好き好き!だとしても、それは無条件ではなく、ウルトラレアだからまずこの世に顕現することは無いと諦めていたのに、主人公の能力のおかげで生まれ出ることができた、という生みの親的な感謝と愛情から来るものとかだと、主従の関係性に深みが増すのではないでしょうか。

異色の第2話に感じた違和感を基に、あえて配下との関係をこのように読み解いて(妄想して)みました。

 

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