久しぶりに故郷の離島に戻った主人公が、死んだはずの幼馴染と共に島に密かに伝わる「影」の秘密を暴いていくホラーサスペンス。

「サマータイムレンダ」の評価

見てもらいたい度:🏝️🏝️🏝️🏝️➖

 

オススメ・ポイント

ホラー、スリラー、ミステリー、サスペンス、サイコ、全部入ってます。それに加えて、アクション、青春、コミカルな要素まで入って、夏の日の気配、切なさ、何気ない日常の尊さまでも感じさせてくれる、稀有なアニメです。

1話のショッキングな展開で掴みはバッチリ。でも、「影」の正体バラすの早すぎない?こんな早く正体明かして 2クールも話持つの?なんて心配をよそに、明かされた謎の後に現れるまた別の謎、予想を超える展開、毎話毎話新たな衝撃の連続に興奮が止まりません。

舞台設定が離島というのも上手い。ある程度の面積、他所との隔絶、独自の風土が物語に説得力を与えます。ぶつ切り包丁、ぶん殴りハンマーの、手応えが実感として想像できる物理感ある得物も、生々しい実感を感じさせてくれました。

地下洞窟の気味悪さ、見通しが効かず何が潜んでいるかわからない洞窟というだけで気味悪いのに、そこに趣味の悪い深海生物のコピーがわんさか、秘宝館的怖さがあります。そこに、夏の日がゆえの薄着(潮に至っては水着)による肌を晒しながら歩く怖さ、気持ち悪さ、緊迫感が加わって、ここでも生々しい気持ち悪さを感じました。長袖着たい。

潮のキャラがイメージと違って豪快なガハハキャラだったのは意外に感じましたが、お転婆でひょうきんなキャラが、ストーリーに明るさと希望を与えていて、グッ!!

 

オススメの回

こんなん、全部です。どの回も全ておすすめで、観るなら絶対「#01 さよなら夏の日」から観てほしいです。

その中から敢えてお薦めを挙げるなら「#09 流れよ我が涙」でしょうか。潮の残したビデオメッセージで、事の発端となった事故の裏側が描かれる回です。派手な展開はありませんが、主役の決意が固まり、後半へ向けてのストーリーの方向性がはっきりと示される重要な回でした。

 

※ここからネタバレあります。

 

「サマータイムレンダ」の感想

ストーリー構成が練りに練られてる

潮が消えて「はいはい、どうせ復活するんでしょ」と斜に構えていた私も大興奮!潮が最初に現れた浜辺の場面に繋げていくとは!ここに代表されるように、タイムリープ物でありがちなご都合主義を感じさせない練りに練られたストーリーに唸らされました。

…だったんですが、最後の戦いが別世界で行われたところは正直残念に感じました。それだと何でもありになってしまう。残念というより「もったいない」という感じ。

まるでスピンオフみたいな最終話

ここまで 24話に亘るストーリーの壮絶さと、その完成度あってこそ成り立つこの最終話。

ハッピーエンドって安っぽいものだと思っていましたが、これは違いました。淡々と穏やかなハッピーエンド。やったぜ!みんな幸せ!ハッピー!ではなく、噛みしめるような幸せを感じさせる、抱きしめたくなるような最終話でした。

キーとなる「たこ焼き10個でも100個でも、の約束」は、「#10話 闇の中へ」の Aパートでの場面でした。これが、そこまで強い印象を残した場面ではないところがさりげなくて、これまたニクい。

『完全なコピーはオリジナルと同じではないか?』

それを人に当てはめたら?映画ペット・セメタリー的な問題提起。

あの善良で明るい潮ちゃん、行動を共にしてるとついつい忘れてしまうけど、これは「影」であって本当の潮ちゃんは死んでいる。根津さんの奥さんみたいになっちゃったらあれだけど、この潮ちゃんだったら…。

でも、こういう気持ちって何なんでしょう。生きていてほしいという気持ちは、決して相手を思ってのことじゃなくて、自分のため、自分を慰める行為、欲、ですよね。「影」でも幽霊でもいいからもう一度会いたい、それ系の話がろくな結末にならないのは、やっぱりそういう考えが人として正しくないからなのでしょう。

でも、私がその立場だったら「影」と割り切って別れることができるのか、ちょっと自信ないです。

 

私の推しは南雲先生😘

 

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